COLUMN 受け継がれる匠の技
Ceremonial と Culinary 抹茶グレードの違い
2026.06.22
抹茶を選ぶ際、「Ceremonial(茶道・飲用・濃茶用)」や「Culinary(製菓・料理・加工用)」という表記を目にしたことはないでしょうか。
一見すると“高級 / 低級”という単純な違いのように感じられますが、実際にはもう少し奥行きのある違いがあります。
本コラムでは、品質の優劣ではなく「用途」によって設計された違いとして、お伝えしたいと思います。
“グレード”とは何を指すのか
まず前提として知っておきたいのは、「Ceremonial」「Culinary」という区分には統一された国際規格が存在しないという点です。
これらは主に海外市場で用いられる分類であり、茶葉の質・収穫時期・製法・味わいなどを踏まえた“目安”として使われています。
つまり、単純なランク付けではなく、「どのように使うための抹茶か」という意図が込められた区分です。
Ceremonial Grade:そのまま味わうための品質
Ceremonial Gradeは、抹茶本来の味わいをそのまま楽しむために設計されています。
主な特徴は以下の通りです。
・若く柔らかい一番茶(春の新芽)を使用
・鮮やかで深い緑色
・苦味が少なく、自然な甘みと旨みが際立つ
・極めてきめ細かく、なめらかな口当たり
これらは、長期間の遮光栽培や丁寧な選別・石臼挽きといった手間の積み重ねによって生まれます。
水と合わせるだけで完成する一杯において、雑味のなさや香りの繊細さがそのまま評価として現れる。
それがCeremonialの本質です。
Culinary Grade:素材として活かすための品質
一方、Culinary Gradeは「混ぜる」「加熱する」ことを前提に設計されています。
主な特徴は以下の通りです。
・やや成熟した茶葉(2番茶以降)を使用
・しっかりとした苦味・渋味
・他の食材に負けない力強い風味
・加熱や加工に適した安定性
抹茶ラテ、焼き菓子、スイーツなどにおいて、ミルクや砂糖と組み合わせても風味が埋もれないことが重要になります。
そのためCulinaryは、単体での“上品さ”よりも、全体のバランスを支える存在としての役割を担います。

違いは「優劣」ではなく「最適化」
ここで重要なのは、どちらが優れているかではなく、用途に対して適しているかという視点です。
例えば、Ceremonialを焼き菓子に使うと風味が消え、コストだけが上がってしまいます。
Culinaryをそのまま飲むと苦味が強く、本来の魅力を感じにくいでしょう。
このように、用途とグレードが一致してこそ、本来の価値が発揮されます。
“良い抹茶”とは何か
では、私たちはどのように“良い抹茶”を判断すべきなのでしょうか。
それは単にグレード表記を見ることではないと言う事です。
・どのような原料が使われているか
・どの工程を経て作られているか
・自分がどのように味わいたいのか
といった複数の視点を持つことにあります。
「高いから良い」でもなく「Ceremonialだから万能」でもない。
抹茶は本来、目的と体験に応じて選ばれるのが正しいと言えます。
おわりに
「Ceremonial(茶道・飲用・濃茶用)」と「Culinary(製菓・料理・加工用)」。
この2つは、品質の差を示すものではなく、“設計された違い”を表すものです。
一杯として丁寧に味わうための抹茶か。
素材として表現を広げるための抹茶か。
その違いを理解することで、抹茶との付き合い方はより豊かなものになります。
抹茶を利用した商品開発において“選ぶ”という事が、商品価値を高めることになると言えるかもしれません。
